最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

採用基準の“肝”は「患者の生活を丸ごと支える」覚悟があるかどうか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 実際そのスタッフは携帯でゲームをしたり、SNSで「暇だー」とつぶやいたり、時に医療事務のスタッフに話しかけては、プライベートな無駄話を延々としたりしていました。医療事務のスタッフにとっては算定業務の邪魔をされるわけで、その結果、現場の診療パートナーは内勤の後方支援が受けられず、移動の車の中で事務処理をするといった最悪な状況となっていました。最終的には残念ながら解雇としたのですが、なんとも後味の悪いこととなってしまいました。

 当時の私たちは、ただ目の前の仕事をこなすだけで精いっぱいで、仕事の優先順位などといったことが全く分からないまま、明確に誰でも同様に業務に取り組めたり、途中からの引き継ぎも容易にできる作業の「平準化」もできずにいました。

 実際、いちいちスタッフに「◎◎をしてください」と指示する時間もないほど現場は忙しいわけで、そのため現場から外れてサボろうと思えばいくらでもサボれるわけなんですね。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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