医者も知らない医学の新常識

脂肪肝の人は低血糖に注意を! 軽症の肝臓病でも危ない

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 糖尿病の治療には、血糖を下げる薬が使われます。そこで副作用として大きな問題となるのは、血糖が下がり過ぎてしまう「低血糖」です。最近の糖尿病の薬は昔と違って、低血糖は起こしにくくなっていますが、その危険はゼロではありません。それでは、低血糖になりやすい体質というのはあるのでしょうか?

 体には血糖を一定に保つ仕組みがあります。その仕組みの重要な部分を担っているのが肝臓です。糖新生といって、肝臓はブドウ糖をつくり、それを血液の中に放出することによって血糖値をコントロールし、低血糖にならないようにしているのです。そのため、肝臓の働きが大きく低下する肝硬変という病気では、重症の低血糖が起こりやすいことが知られています。

 今年の米医師会関連の医学誌に、もっと軽症の肝臓病でも、重症の低血糖が起こりやすい、という研究結果が報告されて話題になっています。これは韓国の研究ですが、糖尿病の患者さんで「非アルコール性脂肪性肝疾患」という病気があると、ない場合に比較して重症の低血糖のリスクが26%増加していたのです。非アルコール性脂肪性肝疾患というのは、お酒とは関係のない脂肪肝のことです。これまで脂肪肝程度では低血糖は増えないと考えられていましたが、そうではない可能性があるのです。血糖が高めで脂肪肝を指摘された方は、低血糖にも注意が必要かもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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