コロナ禍でも注目 最新医療テクノロジー

三菱が提供「高齢者向け見守りサービス」は生活状況をまとめて把握できる

生活状況が把握できる
生活状況が把握できる(写真はイメージ)

「健康(ヘルス)」と「テクノロジー」を組み合わせた造語で「ヘルステック」という言葉がある。最新のICT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)などの技術を活用して、革新的なサービスとして提供する事業分野になる。

 大手総合電機メーカーの三菱電機は、高齢者向けヘルステック事業の第1弾として、高齢者施設を対象に入居者の転倒検知から睡眠状況まで複数の見守り項目をまとめて把握できる「MelCare(メルケア)見まもりサービス」の受注を4月1日から開始する。

 どのような仕組みで複数の項目を見守りするのか。同社・広報部担当者が言う。

「見守りサービスの核となるのは、AI(人工知能)スマートセンサーの『MelCareセンサー』です。幅140ミリ×高さ180ミリ×奥行き64ミリの四角い機器で、内部に環境センサー、赤外線センサー、画像センサーが内蔵されています。これを壁上部など部屋全体を俯瞰(ふかん)できる位置に設置することで、入居者さんの生活状況を見守るのです」

 環境センサーは、「温度」「湿度」「二酸化炭素」「気圧」などを検知する。住環境の状態をセンシングして、悪化した際にスタッフへ注意喚起する。赤外線センサーは、熱画像により入居者の夜間の見守りを行う。画像センサーは、画像データをAI処理により、骨格情報の抽出を行う。骨格情報はクラウドのAI処理により転倒の判断を行う。

 このMelCareセンサーとは別に、ベッドセンサー(睡眠状態、心拍や呼吸を検知)、人感センサー(人の動きを検知)、ドアセンサー(ドアの開閉を検知)などを組み合わせて、生活リズムの見守りも含めてサービスを提供するという。 MelCareセンサーには、同社が開発した「Maisart(マイサート)」というAI技術が使われている。これは深層学習(ディープラーニング)の課題とされている「演算量」を削減(多いと機器に搭載できない)した、コンパクトなAIであることが特徴だという。

「これまで、さまざまな企業がヘルステック事業として、各企業別のサービスを提供してきて、複数の見守り項目をまとめて把握できるサービスがありませんでした。当社のサービスによって、その課題が解消できればと思っています」

 2030年までに累計3000施設への導入を目指しているという。

関連記事