腰痛を含む筋肉や関節の痛みに対しては、NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤)の貼付剤(湿布)が多く使われています。中でも、「ケトプロフェン」(モーラステープなど)は効果が強力で剥がれにくく使用感も良いため、大変人気があります。
医療用のケトプロフェン貼付剤には、20ミリグラム、40ミリグラムのテープ剤(1日1回)、60ミリグラム、120ミリグラムのパップ剤(1日2回)、そして120ミリグラム、240ミリグラムの1日1回貼付タイプの商品があり、患部や症状によって使い分けられています。ケトプロフェンを含む貼付剤は市販されているので、ドラッグストアなどでも購入できます。
ただ、テープ剤・パップ剤は患部に貼って使用するため、皮膚のかぶれやかゆみが出るケースも多くあり、使用には注意する必要があります。
また、ケトプロフェンを含有する外用薬は、「光線過敏症」によって皮膚に重篤な副作用を起こすことが知られています。ケトプロフェンを貼った部位の皮膚の表面近くにとどまっている成分に日光などの強い紫外線が当たると、発疹、発赤、かゆみ、腫れ、水ぶくれといった激しい皮膚の炎症が表れるのです。
貼付部位には紫外線が当たらないようにしなければなりません。貼ったままの状態で、ゴルフや海水浴といった屋外での活動は控えましょう。外出時は晴れた日だけではなく、曇っている日にも肌の露出を避け(特に半袖や短いスカートなどは厳禁)、なるべく濃い色の服やサポーターを着用してください。また、ケトプロフェンを剥がした後に光を浴びても光線過敏症が起こる可能性があります。使用後(剥がした後)は、少なくとも4週間は注意しましょう。
ケトプロフェン製剤には、ゲル、クリーム、ローションなどの塗布薬も存在します。使用した際は紫外線を避けるなど、上記の注意事項は同様です。
新しいNSAIDsのテープ剤として、2015年に販売が開始された「エスフルルビプロフェンテープ(ロコアテープ)」も使用には注意が必要です。現時点では、変形性関節症のみの適応ですが、変形性関節症が原因になっている腰痛や関節痛には使われます。
ロコアテープは、貼付による主成分の血中濃度が飲み薬と同じくらい上がります。効果が強力である半面、かぶれなどの局所の副作用以外に、胃潰瘍など全身性の副作用が起こりやすく、貼付は「1日1回、上限2枚まで」と決められています。
また、合成抗菌剤のノルフロキサシン(バクシダールなど)、ロメフロキサシン(バレオンなど)、プルリフロキサシン(スオード)といった内服薬と併用すると、けいれんが表れる危険があるため、禁忌となっています。
他にも「併用に注意すること」と記載されている医薬品は多く、抗凝固剤のワルファリンカリウム、免疫抑制剤(抗リウマチ薬)のメトトレキサート、副腎皮質ホルモン剤のメチルプレドニゾロンなど、いずれも医療現場で繁用されている薬が該当します。湿布薬だからといって気軽に人に譲ってはいけません。
腰痛のクスリと正しくつきあう