それによって数値が低くなれば、検査では「中性脂肪は異常なし」となってしまう。でも、それは「本当の値」を反映したものではなく、「検査日だけ正常値、それ以外は異常値」なのです。
もし、患者さんが糖尿病や高血圧など別の生活習慣があり、その担当医が問診をしっかりとできれば、「その食事内容で、中性脂肪の値が問題ないのはおかしい」となるかもしれません。ただ、何度かこの欄で触れているように、患者数の多い内科では時間をかけた問診は難しい。また、患者さんが正直に食生活について話してくれないケースも珍しくありません。
中性脂肪でもうひとつ厄介な点は、薬で下げづらいということです。同じ脂質異常症でも、悪玉コレステロールが高い場合と、中性脂肪が高い場合とでは、出す薬が違うのですが、悪玉コレステロールに使う薬に対し、中性脂肪が高い時に出す薬は副作用が比較的出やすい。だから、悪玉コレステロール、血糖値や血圧を先に下げてから中性脂肪……というように、治療も後回しになりがちです。
中性脂肪が動脈硬化にどれほど影響を与えるか、実はエビデンスがあまりないのですが、放置してはいけないのは確か。しかし、現状は十分に対処できていない状況です。
進化する糖尿病治療法