腰痛のクスリと正しくつきあう

高齢者の腰痛では漢方薬の「八味地黄丸」がよく使われる

写真はイメージ(提供写真)

 腰痛に対して用いられる薬の中には「漢方薬」も数多くあります。今回はその中でも比較的使用頻度が高い「八味地黄丸(ハチミジオウガン)」についてお話しします。

 八味地黄丸は、地黄(ジオウ)、山茱萸(サンシュユ)、山薬(サンヤク)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)、桂皮(ケイヒ)、附子(ブシ)の8種類の生薬から構成される漢方で、加齢に伴って下半身の臓器の機能が低下した状態=「腎虚」に対して用いられます。「腎」は人の成長、発育、生殖、老化をつかさどり、全身のエネルギーをためておく臓器とされ、腎虚になると、腰痛、肩こり、手足のしびれ、冷え、喉の渇き、頻尿といった症状が表れます。

 腰痛よりも疲労や倦怠(けんたい)感によく使われたり、加齢に伴う虚弱体質や尿量の調節を目的に使用したりすることが多いので、薬局や薬店で勧められたことがある方も多いのではないでしょうか。腰痛では、高齢で腰や下肢の衰え、脱力感があり、排尿障害を伴う場合などに繁用されています。

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池田和彦

池田和彦

1973年、広島県広島市生まれ。第一薬科大学薬学部薬剤学科卒。広島佐伯薬剤師会会長。広島市立学校薬剤師、広島市地域ケアマネジメント会議委員などを兼務。新型コロナワクチンの集団接種業務をはじめ、公衆衛生に関する職務にも携わる。

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