医者も知らない医学の新常識

片頭痛があると認知症リスクがアップする? 専門誌で報告

写真はイメージ

「片頭痛があって薬を飲んでいる」という方は多いと思います。片頭痛というのは通常、体質的な慢性の頭痛で、目の前に光が見えるような前兆に続いて、頭の片側がズキズキと痛む発作が起こるというのが、その特徴的な経過です。この頭痛発作は、しばしば強い吐き気を伴います。

 片頭痛が最も多いのは30代ですが、より注意が必要なのは60歳を越えて起こるような発作です。理由は、老化によって起こる脳の病気と関連する可能性があるからです。

 片頭痛があると、脳卒中になるリスクが50%以上高まるという研究結果が報告されています。これは脳卒中の原因となるような血管の動脈硬化性の変化と、片頭痛が関連するという可能性を示しているのです。脳の血管の異常は、脳卒中だけではなく認知症の原因にもなります。

 それでは、片頭痛は認知症のリスクにもなるのでしょうか? 今年の老化研究の専門誌に、それについての研究結果が発表されています。これまでの臨床研究に含まれる29万人以上のデータをまとめて解析したところ、片頭痛があるとその後の認知症のリスクは33%増加していました。特に動脈硬化が原因となる脳血管性認知症では、そのリスクは85%も増加していたのです。

 中高年の片頭痛は脳卒中や認知症の前兆であるかもしれないのです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

関連記事