腰痛のクスリと正しくつきあう

鎮痛の代表的な漢方「芍薬甘草湯」は筋肉の張りが強い腰痛に使われる

写真はイメージ

 前回に引き続き、腰痛に対して使用される「漢方薬」を紹介します。

 今回は一般薬としても広く認知されている「芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)」についてお話しします。

 構成生薬は、芍薬と甘草の2種類で非常にシンプルな処方です。漢方で「鎮痛」といえば、真っ先に名前があがる代表的な薬です。筋肉の張りが強く、手足のけいれんやこむら返り、足のつりなどを併発する場合によく使われます。

 筋肉の張りが強い状態は、中医学では「気」と「血(ケツ)」が一時的に不足している状態と考えます。「気」とは生命活動を支えるエネルギーのことで、自律神経の働きに近いものとされています。「血」は体中を巡ってさまざまな組織に栄養を与えているもので、主に血流に該当します。

 芍薬甘草湯は、不足している「気」と「血」を補って筋肉のこわばりや痛みを鎮める作用があるため、筋肉のけいれんを伴う腰痛にも用いられるのです。

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池田和彦

池田和彦

1973年、広島県広島市生まれ。第一薬科大学薬学部薬剤学科卒。広島佐伯薬剤師会会長。広島市立学校薬剤師、広島市地域ケアマネジメント会議委員などを兼務。新型コロナワクチンの集団接種業務をはじめ、公衆衛生に関する職務にも携わる。

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