腰痛のクスリと正しくつきあう

鎮痛の代表的な漢方「芍薬甘草湯」は筋肉の張りが強い腰痛に使われる

芍薬(白芍と赤芍)

 ほかに血行不良を伴う腰痛には「疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)」が良いとされています。不足した「血」を補い、体液全般に相当する「水」が停滞した状態も改善する薬で、血液循環や水分代謝を活発にする作用があります。

 17種類の生薬から構成されているので、効果の発現に時間がかかるイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれません。しかし、痛みに対しては即効性があり、腰から下の関節痛、筋肉痛などを改善するには最適で切れ味の良い漢方薬といえます。味が悪く少し飲みにくいのが難点です。

 漢方には、体質を見極める尺度として「証」という独自の“物差し”があります。「体質・体力・抵抗力・症状の表れ方といった個人差を表すもの」で、証によって処方の方針が決まってきます。証には「虚・実」という分け方があり、体力があって壮健な状態を「実証」、体力がない虚弱な状態を「虚証」と呼んでいます。

3 / 4 ページ

池田和彦

池田和彦

1973年、広島県広島市生まれ。第一薬科大学薬学部薬剤学科卒。広島佐伯薬剤師会会長。広島市立学校薬剤師、広島市地域ケアマネジメント会議委員などを兼務。新型コロナワクチンの集団接種業務をはじめ、公衆衛生に関する職務にも携わる。

関連記事