最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

診療パートナーは患者さんのQOLを上げるために必要不可欠な存在

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 しかし、この「診療パートナー」を在宅医療を行う全国のクリニックが100%導入しているかといえば、そうでもありません。

 そうなんです。「診療パートナー」がいる在宅医療といない在宅医療があるということです。

 もしもいない場合は医師が行う業務が煩雑になり、医師しかできない本来やるべき「診療業務」に割ける時間が減ってしまいます。たくさんの患者さんを診ることもできません。患者さんやそのご家族の話を聞き、要望や希望を受け止める時間(地域・家庭調整業務)も中途半端なままになってしまいます。場合によっては、患者さんのQOLは大幅に低下してしまうでしょう。逆に「診療パートナー」がいると、医師と業務を分担し医師の診療業務比率を上げられ、必然的に診療できる患者さんの数も増やせます。

 我々医院で以前、試算した作業割合ですと、「診療パートナー」がいないために医師がすべての業務を丸抱えする在宅医療では、患者さんのお話を聞き要望を吸い上げる地域・家庭調整業務が40%、カルテ作成業務が20%、診療業務が40%となります。それが「診療パートナー」がいて、しかも医師との連携が取れている場合の医師の作業割合は、地域・家庭調整業務が20%、カルテ作成業務が10%、そして医師の本来の業務である診療業務は70%に跳ね上がります。また、「診療パートナー」にとっては、カルテ作成業務が10%、診療補助業務が20%、地域・家庭調整業務が70%となり、より患者さんが自分らしく過ごすテーラーメードな在宅医療実現の可能性を広げることになります。

 在宅医療選びの条件の一つに、ぜひこの「診療パートナー」も加えていただければと思います。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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