血液型を決めるのは、赤血球の糖鎖(A抗原、B抗原、O抗原)ですが、もうひとつ重要な要素があります。それが各抗原に対する「抗体」です。
A型の人の血液中には、B抗原に対する抗体(抗B抗体)が存在しています。またB型の血液中は抗A抗体、O型の人は抗A抗体と抗B抗体の両方を持っています。逆にAB型の人は、いずれの抗体も持っていません。
A型の血液をB型の人に輸血すると、レシピエント(輸血を受けた人、この場合はB型の人)の抗A抗体が、ドナー赤血球(この場合A型)のA抗原と激しく反応し、ドナー赤血球が破壊されて「溶血」と呼ばれる現象が生じます。つまり輸血失敗です。同様にA型の人にB型の血液を輸血すると、ドナー赤血球のB抗原をレシピエントの抗B抗体が攻撃するため、やはり溶血反応が起こります。
AB型の人は、抗A抗体も抗B抗体も持っていないので、A型、B型のどちらからも輸血を受けることができます。しかしAB型の血液を、A型やB型の人に輸血することはできません。AB型の赤血球にはA抗原とB抗原の両方が結合しています。これを仮にA型の人に輸血すると、血液中の抗B抗体が攻撃を仕掛けるため、やはり溶血を起こしてしまいます。B型の人に輸血しても同じです。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。