60歳からの健康術

眼科編(5)強い近視の人は気をつけたい目の病気 「病的近視」は失明原因第3位

人口の1%が病的近視

 かつて近視は、ある程度進むと、それ以上は進まないといわれた。ところが近年は近視は一生涯進むとされ、高齢になるとその弊害が心配されるようになっている。今回は強度近視に関連する目の病気を考えたい。

 強い近視が原因で目の障害や失明に至ることを「病的近視」と呼ぶ。失明原因の第3位で、日本には15万人の患者がいるといわれている。

「角膜や水晶体の屈折力を示す単位をジオプター(D)と言い、近視は『-D』で表します。-8Dより強い近視が病的近視で、人口の1%程度いるとされています。病的近視では、眼球が引き伸ばされることで目の奥にある網膜や脈絡膜(網膜の内側にある薄い膜で血管とメラニン色素に富み、眼球の栄養をつかさどる。瞳孔以外からの光を妨げて眼球内の暗さを一定にする働きがある)が引っ張られて損傷を受け、ものが歪んで見えるなど機能を果たさなくなる『近視性網脈絡膜萎縮』、眼底で血液の成分が染み出したり出血やむくみを生じる『近視性脈絡膜新生血管』を起こしやすいことがわかっています。視神経が集中する網膜や黄斑部などがはがれ、視野の中心部が見えなくなる『近視性中心窩分離症』、『黄斑円孔』などにも注意が必要です」

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