食事は健康の維持や増進にとって、最も基本的な営みのひとつです。食事と健康への影響を調査した研究論文によれば、食事に関連した死亡や病気などによって失われた健康寿命は、世界195カ国の総計で2億5500万年と見積もられています。
一方で、健康的と言われるような食事が、ヒトの寿命にどのような影響を与えるのかについて、質の高いデータは限られていました。そんな中、食事の内容と平均余命の関連性を検討した研究論文が、医学領域のオープンアクセスジャーナル、プロス・メディシン誌に2022年2月8日付で掲載されました。
この研究では、これまでに報告されている食事と死亡リスクに関するデータを基に、「最適化された食事」や「実現可能な健康的食事」が平均余命をどれほど延長させるか、統計学的に推計しています。
「最適化された食事」とは、「典型的な西洋食」と比べて全粒穀物(玄米など)、豆類、魚、果物、野菜の摂取量が多く、赤身肉や加工肉、砂糖入り飲料、精製穀物(白米など)の摂取量が少ない食事で、「実現可能な健康的食事」とは、「最適化された食事」と「典型的な西洋食」の中間に位置する食事でした。
解析の結果、20歳の時点で「典型的な西洋食」から「最適化された食事」に変更すると、平均余命の延長は女性で10.7年、男性で13年と見積もられました。60歳の時点で変更した場合でも、平均余命は女性で8年、男性で8.8年延長されると試算されています。
この推計が事実だとしたら、少しでも長生きするためには20代から健康的な食事に切り替える必要があります。はたして、そのような生活が豊かなものと言えるかどうかについて、あらためて考えてみる必要があるかもしれません。
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