腰痛のクスリと正しくつきあう

女性特有の症状からくる腰痛に使われる2つの漢方薬 下痢には注意

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 腰痛に対して使われる漢方薬の中でも、特に婦人科系の疾患に起因する痛みに効果が高いものがあります。その中でも、構成生薬に芒硝(ボウショウ)と大黄(ダイオウ)を含む漢方薬を中心にお話しします。

 まずは「桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)」です。桃仁(トウニン)、桂皮(ケイヒ)、大黄、芒硝、甘草(カンゾウ)の5種類の生薬から成ります。体中を巡ってさまざまな組織に栄養を与えている「血(ケツ)」の巡りが悪くなった「瘀血(オケツ)」を改善する漢方薬です。月経不順、月経痛、月経時や産後の精神不安といった女性特有の症状に対して使われることが多く、痛みを緩和するため、腰痛や高血圧による頭痛や肩こりなどにも用いられるのです。

 また、「通導散(ツウドウサン)」も同じく瘀血を改善する漢方薬です。枳実(キジツ)、大黄、当帰(トウキ)、甘草、紅花(コウカ)、厚朴(コウボク)、蘇木(ソボク)、陳皮(チンピ)、木通(モクツウ)、芒硝という10種類の生薬で構成されています。こちらも、月経不順、月経痛、更年期障害、腰痛、高血圧による頭痛や肩こりなどを改善します。

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池田和彦

池田和彦

1973年、広島県広島市生まれ。第一薬科大学薬学部薬剤学科卒。広島佐伯薬剤師会会長。広島市立学校薬剤師、広島市地域ケアマネジメント会議委員などを兼務。新型コロナワクチンの集団接種業務をはじめ、公衆衛生に関する職務にも携わる。

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