五十肩を徹底解剖する

肩の腱は切れてもレントゲンだけでは正しい診断がつきにくい

写真はイメージ(C)PIXTA

 今回も、中年以降に起こる肩痛のひとつ、「腱板断裂」のお話をします。

 肩の腱が切れることで、痛みや動かしづらさが出たのが腱板断裂です。「腱」といえば、みなさんが馴染みやすいのは、ふくらはぎからかかとに伸びるアキレス腱ではないでしょうか?

 アキレス腱が切れたとき、よく言われるのが「『バチッ』という音が聞こえた」「ふくらはぎを棒でたたかれたような感じがして、その場で立っていられずしゃがみこんでしまった」など。

 明らかな異変のため、アキレス腱を切った人はすぐに病院を訪れます。アキレス腱は足首の後ろの皮膚の下に透けて見えますし、足首の後ろでピンと張った筋がなくなり断裂部分がペコンとへこむので診断も簡単です。

 一方、「肩の腱が切れた!」と思って病院に来る人は極めてまれです。

 切れた瞬間を自覚しづらいだけでなく、腱板断裂のせいで痛くて動かしづらいのに、その症状を「五十肩」だと思い込み、長期間、様子を見ていたという人はたくさんいます。さらに最終的に腱板断裂と診断がついた患者さんでも、これまで病院で「五十肩」と診断されてきたという人もたびたび見受けます。

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安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

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