医者も知らない医学の新常識

円形脱毛症に関節リウマチの薬が効く!?自己免疫に関係か

写真はイメージ
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 円形脱毛症というのは、その名の通り円く毛が抜けるという症状が特徴で、俗に「10円ハゲ」などと言われることもあります。強いストレスを受けると一時的に起こることがあり、それはまた改善しますが、全身の毛が全て抜けてしまうというような重症のケースもあります。その原因はまだ不明ですが、自己免疫といって、自分の体を自分で攻撃して炎症を起こすという仕組みが関係しているという考え方があります。

 自己免疫は多くの病気の原因になり、その代表のひとつが関節リウマチです。この病気では、自己免疫によって関節の炎症や変形が起こるのです。

 この関節リウマチの治療薬のひとつに、JAK阻害剤という薬があります。細胞の中にあるJAK(ヤヌスキナーゼ)という酵素を抑える飲み薬で、自己免疫の炎症を抑える働きがあるのです。

 それでは、同じ自己免疫が関連している円形脱毛症に、JAK阻害剤は効果があるのでしょうか? 今年のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンという一流の医学誌に、円形脱毛症にJAK阻害剤を使用した臨床試験結果が報告されています。それによると、重症の円形脱毛症の症状が、関節リウマチに使用しているのと同じ量のJAK阻害剤で、改善することが明らかとなったのです。円形脱毛症は将来治る病気になるかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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