腰痛のクスリと正しくつきあう

胃腸が弱い人の腰痛には多くの生薬からなる「五積散」が良いケースも

写真はイメージ

 これまで、腰痛に対して用いられる漢方薬をいくつか紹介してきましたが、今回は「五積散(ゴシャクサン)」についてお話しします。

 構成生薬は蒼朮(ソウジュツ)、陳皮(チンピ)、当帰(トウキ)、半夏(ハンゲ)、茯苓(ブクリョウ)、甘草(カンゾウ)、桔梗(キキョウ)、桂皮(ケイヒ)、厚朴(コウボク)、芍薬(シャクヤク)、生姜(ショウキョウ)、川芎(センキュウ)、大棗(タイソウ)、白芷(ビャクシ)、麻黄(マオウ)という15種類をベースにしています。これに、枳実(キジツ)、白朮(ビャクジュツ)、枳穀(キコク)、乾姜(カンキョウ)などを加えた方剤です。

 東洋医学でいう「寒・食・気・血・痰」がそれぞれ滞っている状態(積滞)の改善を目的としていることから「五積」という名がついています。体を温める、胃腸に良い、痛みをとる、血行を良くする、無駄な水分を取り除くといったさまざまな生薬が配合されていることから応用範囲が広く、腰痛、関節痛、座骨神経痛、頭痛なども改善するのです。

1 / 3 ページ

池田和彦

池田和彦

1973年、広島県広島市生まれ。第一薬科大学薬学部薬剤学科卒。広島佐伯薬剤師会会長。広島市立学校薬剤師、広島市地域ケアマネジメント会議委員などを兼務。新型コロナワクチンの集団接種業務をはじめ、公衆衛生に関する職務にも携わる。

関連記事