新型コロナ第6波をどう過ごすか

4回目ワクチン接種に予防効果は期待できない…米国の専門家も指摘

バイデン大統領はブースター接種を進めているが…
バイデン大統領はブースター接種を進めているが…(C)ロイター

 新型コロナウイルス感染症が再び拡大基調に入った。国立感染症研究所が7日公表した「新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等」(2022年4月6日現在)がそれを示している。

 全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人当たり約259人。今週先週比1.08と増加傾向となっている。

 地域別では滋賀(0.82倍)、兵庫(0.95倍)などのように減少に転じている地域もあるが、宮崎(1.68倍)、大分(1.39倍)、和歌山(1.33倍)をはじめ、多くは増加を示している。

 感染研は今後について「お花見、歓迎会などが行われる時期であり、特に夜間滞留人口の増加が新規感染者の増加要因となりうること、子どもは、新学期が始まり、学校での接触機会が増加する可能性があること」「BA.2系統への置き換わりが進んでおり、新規感染者の増加要因となりうる。ヨーロッパではBA.2系統への置き換わりが進み、感染者だけではなく重症者・死亡者が増加に転じている国もある」「オミクロン株に対する感染予防効果はデルタ株に比較しても低く、しかも持続期間が短いことに留意が必要」などとして感染増への懸念を示し、ワクチン接種するよう説いている。

 そんな中、米国の食品医薬品局(FDA)は新型コロナウイルスワクチンの追加接種の必要性や変異型への対応について今後の方針を議論する諮問委員会を開いた。その中で世界で感染が広がるオミクロン型の派生型BA.2に、既存ワクチンが十分適合していないとの指摘が出たという。

 諮問委にはFDAをはじめ、米疾病対策センター(CDC)や米国立衛生研究所(NIH)、世界保健機関(WHO)などの専門家らが参加した。しかもFDAのワクチン開発部門の副ディレクターは「既存ワクチンは主流となるBA.2に十分適合していない」と語ったという。

 多くの専門家が4回目ワクチン接種の予防効果を否定的に見る根拠はファイザー社製ワクチンの接種が積極的に行われるイスラエルの研究結果。60歳以上のイスラエル人125万人あまりの今年1~3月の健康記録の分析で、内容は世界的に権威のある医学論文雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載されている。

 それによると、3回目接種群に比べて4回目接種群は接種4週目で重症化リスクは3.5分の1に低下となったものの、感染が確認されるリスクは4週目で3週群の半分、8週目では1.1分の1とほぼ戻ったという。つまり、感染予防効果は2カ月間しか持たない。

 そうなると、4回目接種は免疫に問題を抱える人など感染後の重症化リスクが高い人以外、健康な人は慌てて打つ必要はないのかもしれない。ワクチンを打てば高い確率で発熱や痛みなどの副反応がある。接種のメリットとデメリット、それに接種当日の自身の体調。この3つをよく見極めたうえで接種の判断を自身で行うことだ。

関連記事