感染症別 正しいクスリの使い方

【オウム病】「鳥との接触があったかどうか」が参考になる

発症前に「鳥との接触があったかどうか」が診断の参考に

 オウム病の報告は、ここ数年、年間10件前後の報告にとどまっています。実際には軽症だったため報告されていない潜在症例もあると思われますが、年々減少傾向です。ペットとしての鳥の飼育数の減少などが関係しているのかもしれません。

 オウム病を予防するためにはいくつか注意点があります。①換気が良くない、きれいに清掃していないような鳥小屋内に入る時は、マスクをするなど注意が必要。②鳥を飼うときは、ケージ内の羽根や糞をこまめに掃除する。③鳥の世話をした後は、手洗いやうがいをする。④口移しでエサを与えないなど、節度ある接し方をする。

 また、健康な鳥でもオウム病クラミジアを保菌している場合があり、体調を崩すと糞便や唾液中に菌を排出し感染源になることがあるので、鳥の健康管理に注意することも大切です。

 今回はオウム病の原因菌となるクラミジアについてお話ししましたが、「クラミジア」と聞くと性感染症を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。クラミジアにはいくつか種類があり、性器感染症や結膜炎の原因になるのは「Chlamydia trachomatis」という菌なのです。その他にも「Chlamydia pneumoniae」という菌はクラミジア肺炎を起こすことでよく知られています。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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