ただ、幸いにも全身状態に問題はありませんでした。私はお母さんに、「入院しながら2種類の軟膏を使って傷を清潔に保ち、毎日ガーゼ交換をしましょう」という治療方針を提案したのですが、彼女は「入院はできない」と言います。
「それでは毎日、皮膚科外来に通うのではどうでしょう?」と代替案を出したところ、それにも首を横に振ります。聞くと、家にもうひとり病人がいるとのこと。大学病院に通院し3時間待って10分の処置を受ける。往復の時間を入れると、トータル5時間。大事な子供のためとはいえ、病人の看護もあり、そんなにも長時間家を空けるわけにはいかなかったからでした。
「自宅に往診してもらい、息子の傷と全身状態について助言してもらう方法でお願いできないでしょうか?」
お母さんから切り出されたのは、こんなアイデアでした。看護師である彼女だから思いついた苦肉の策。一般の方でしたら、こんなアイデアは浮かばなかったはずです。
最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと