年を重ねるごとに気になる尿トラブル。トイレが近い、夜に何度もトイレに行きたくて目が覚める、ときどき漏れる……。命に関わる問題ではないけれど、頻尿・尿漏れは生活に支障を来たすもの。食の力で改善を図りましょう。
加齢によって、膀胱の機能は低下します。膀胱の筋肉の衰え、排尿をコントロールする自律神経の機能低下から、頻尿・尿漏れといった問題が引き起こされるのです。特にシニアの場合は夜間頻尿が顕著で睡眠の妨げになり、つらい思いをしている人も少なくないでしょう。中医学において、頻尿は膀胱に関連の深い臓器「腎」の弱りが原因と考えます。腎の働きによって、体内の不要な水分は尿として外に排泄されるために膀胱へ送られます。膀胱は尿をためたり、排泄したりする臓器です。膀胱の開閉や尿の排泄量を調節する働きにより管理されています。
腎が弱るとその影響は膀胱に及び、尿量を調節したり、膀胱に尿をためる機能が弱まるため、頻繁に尿意を感じるのです。また、尿漏れ、尿失禁、尿のキレが悪いといった症状も引き起こしがちです。
トイレへの往復を回避するには、腎の働きをしっかりと高める食材を取り入れましょう。
おすすめは栗。腎の働きを高めるとともに、尿トラブルに威力を発揮します。また、足腰の衰えによく、腰痛対策にもおすすめです。全身の筋肉、関節強化にも役立ちます。さらに脳の機能を高める働きにも優れているので、アクティブシニアにうれしい木の実なのです。また、栗は体を温める作用もある食材で、冷えが気になる人にも取り入れてもらいたい食材です。
栗といえば秋が旬ですが、甘栗であれば通年、摂取が可能。また、おやつにつまむだけではなく、さまざまな料理に使って、こまめに取り入れるとよいでしょう。
栗というと「栗ごはん」のイメージしかないかもしれませんが、味噌汁、シチュー、煮物などの具に使うと、ほっこりやさしい甘みが加わっておいしくいただけます。刻んでサラダに入れたり、炒めものに使うのもよし。栗の頻尿改善効果を高めるために、ぜひ組み合わせたいのがギンナンです。中国では「白果」の名前で生薬としても使われ、尿の抑制作用が高い食材です。そのほか、クルミ、もち米もおすすめです。
■栗高齢薬膳レシピ
木の実の雑炊
腎の働きを高めて尿トラブルを改善する栗に、尿止めに良いギンナン、クルミ、もち米を組み合わせた雑炊。もち米を使った「おこわおにぎり」を活用すれば、炊飯器不要でスピーディーに調理できます。木の実がアクセントになった、やさしい滋味のあるおいしさの雑炊です。
【材料】2人分
●おこわおにぎり(市販)2個
●甘栗 6個
●ギンナン 10粒
●クルミ 大さじ3
●だし(水2カップ、めんつゆ大さじ2.5)
●刻みネギ 適量
【作り方】
鍋に、だし、おこわおにぎりを入れて熱し、煮立ったら火を弱めておこわおにぎりをへらで崩し、半分に切った甘栗とギンナンを加えて5分煮る。器に盛り、粗く刻んだクルミと刻みネギをのせる。
健康長寿に役立つ高齢薬膳