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血糖値(下)糖質を抑えておいしい脂とタンパク質を食べる

ひと回り小さいお茶碗を使うのもいい
ひと回り小さいお茶碗を使うのもいい

 糖尿病の原因は「血糖値」を上げる糖質の取りすぎ。主に炭水化物(米、小麦、そば、トウモロコシなど)、でんぷん(イモ類、ニンジン、カボチャなど)、砂糖を使う食品(お菓子、ケーキ、清涼飲料水など)、フルーツなどが糖質を多く含む食品になる。

 しかし、実際に自分が1日何グラムの糖質を取っているかはわかりづらい。

 ある調査によると、日本人の1日の平均糖質摂取量は320グラム以上となっているが、糖尿病を防ぐには1日の糖質摂取量200~250グラム、炭水化物のエネルギー比率50%が当面の目標とされる。では、これを達成するには、どんなことに気をつけて食生活を送ればいいのか。

 食べた糖質の代謝を正常に保つための最良の方法は、肥満の解消になる。肥満体質になると、肝臓に脂肪がつく。この脂肪肝が糖代謝を悪化させる元凶だからだ。その肥満の解消にはダイエットも大切になるが、そこが勘違いしやすい。

ズボラでもラクラク!薬に頼らず血糖値がぐんぐん下がる!」(三笠書房)の著者で、「芝浦スリーワンクリニック」(東京都港区)の板倉弘重名誉院長が言う。

「『ダイエット』=『我慢』と思いがちですが、それは間違いです。むしろおいしいものをたくさん食べることが、健康的なダイエットにつながるのです。『ダイエット』=『我慢』と連想する一番の理由は、カロリーを減らそうとするからです。カロリーの高い食品とは、タンパク質と脂質。ようするに、肉と脂です。これこそがおいしいわけです。健康的なダイエットのために減らすべきなのは、肉でも脂でもなく糖質なのです」

 糖質を減らしてタンパク質中心の食事がいい理由は、肥満解消以外にもある。筋肉をつくる栄養源である肉、卵、魚、乳製品などの動物性タンパク質は、糖代謝と深い関わりがあるのだ。体中の筋肉には糖を貯蔵する大きな能力があり、しっかり筋肉がついていれば、糖代謝がよくなり、食後に増えた血糖をスッキリと減らすことができるというわけだ。

■1膳のごはん量を減らす

 卵も誤解されやすい食品のひとつだ。大きさにもよるが、卵1個には約10グラムの動物性タンパク質が含まれている。1日に推奨されるタンパク質は体重の1000分の1。体重60キロなら60グラムなので、1日3個ずつ卵を食べれば、必要量の半分のタンパク質を取ることができる。

 しかし、患者に卵をすすめると、必ず「コレステロールが上がらないでしょうか」と心配する人がいるという。その考えは大きな間違いだ。なぜ、そんな「誤った神話」が生まれたのか。

「1913年に、ロシアのある科学者が、ウサギに卵を食べさせる実験をしました。すると、ウサギのコレステロール値が急上昇したのです。しかし、ウサギは草食動物です。草食動物に動物性タンパク質を食べさせれば、異常を起こすのは当然です。人間とウサギを同じに考えてはいけません。1981年には日本でも実験が行われています。この実験では、健康な人に1日10個の卵を5日間連続で食べてもらいました。血液検査の結果、コレステロール値には、まったく変化がなかったということです」

 1日の糖質量を管理するにあたって、一番のポイントとなるのは、ごはんだ。ごはん1膳分(150グラム)の白米には、55グラムの糖質が含まれている。仮に1日3膳のごはんを食べると、それだけでも165グラム。目標の200グラムにすでにリーチがかかった状態になってしまう。

「簡単なのは、1膳当たりのごはんの量を減らすことです。何も半分にする必要はありません。せいぜい10~20%減らせば十分です。1膳当たり20%減らすと、1日2回食べたとしても、ごはんによる糖質は88グラムで済みます。ファミレスなどでは、最初から『少なめ』に注文するのがいいでしょう。自宅で使うお茶碗を、ひと回り小さくするのもいい作戦です。また、白米を玄米や雑穀米に替えるのもおすすめです」

 100グラム当たりに含まれる糖質量は、白米の39グラムに対して、玄米34グラム、雑穀米30グラムになり、それぞれ10%、20%減らせる計算になる。ごはんの量を20%減らして、さらに雑穀米に替えれば、合計35%も糖質カットができる計算になる。

 そして、ごはんに何かをトッピングすれば、その分、全体のかさが増えて、ごはんの量を減らすことができる。

 トッピングの王様といえば「納豆」だ。納豆は食物繊維を豊富に含むため、糖質の吸収をスローにしてくれるという。

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