「小さな裂孔は年をとると本人も知らない間に起きることがあります。その中で、剥離が広がって視野欠損などの症状があり、治療を要するケースは1年間で人口1万人に1人程度といわれています」
治療は、軽いものなら光凝固を行う。それ以上なら手術が実施される。目の中に気泡を注射して網膜を所定の位置に戻す、眼球の外側にシリコーンゴムなどのバンドを縫い付ける、網膜に付着している硝子体を切り離す、などの方法がある。
「手術ですからリスクはありますが、網膜剥離は手術しないと永久に視力を失うことになります」
網膜剥離の患者の40~50%が中等度以上の近視で、30~40%が白内障手術を受けており、10~20%は直接的な目の外傷を受けていたとの報告がある。
「また、片方に網膜剥離がある人は残りの目もなりやすいことが知られています。さらに家族に網膜剥離の方がいる人も注意が必要です」
ただし、この病気は早期発見・治療をすれば進行を止めることができる。気になる人はかかりつけの眼科専門医に定期的に検査してもらうことだ。
60歳からの健康術