科学が証明!ストレス解消法

人間の記憶は外部からの情報や圧力で容易に歪んでしまう

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 話を戻しましょう。ファーウェル博士は、「P300でわかるのは容疑者が何かを知っているということだけ」と話しています。例えば、窃盗犯が洋服に興味がなければ、被害者がどんな服装をしていたかは知覚にとどまっていない可能性がある。結果、P300を使っても判断が難しくなってしまう、と。また、研究者の中にはP300の効果に懐疑的な人もいます。やはりこの世にウソを見抜く完全な装置など存在しないと言えそうなのです。また、「この人はウソをついているに違いない」といった“前提”ありきで話を進めることは、とても危険な考え方です。

 ワシントン大学のロフタスとパーマーの研究(1974年)に、「人間の記憶は、外部からの情報や圧力で容易に歪んでしまう」というものがあります。ロフタスは、被験者に自動車事故の映像を見せ、その後、事故についてAグループには「車が激突したとき、どのくらいのスピードでしたか」と聞き、Bグループには「車がぶつかったとき、どのくらいのスピードでしたか」と聞きました。すると、「激突」という言葉を使用したグループの方が、「よりスピードが出ていた」と答えたのです。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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