腰痛のクスリと正しくつきあう

女性向けイメージがある「当帰芍薬散」はタイプにより男性にも

写真はイメージ

 また、特に冷えや痛みが強い場合は附子(ブシ)を加えた「当帰芍薬散加附子(トウキシャクヤクサンカブシ)」、胃腸が弱い方は人参(ニンジン)を加えた「当帰芍薬散加人参(トウキシャクヤクサンカニンジン)」で対応するケースもあります。

 ほかにも「当帰四逆湯(トウキシギャクトウ)」は、冷えがあり、下肢や下腹部の痛みが強い腰痛に使用されます。構成生薬は、大棗(タイソウ)、桂皮(ケイヒ)、芍薬(シャクヤク)、当帰(トウキ)、木通(モクツウ)、甘草(カンゾウ)、細辛(サイシン)の7種です。さらに冷えがひどければ、ここに呉茱萸(ゴシュユ)と生姜(ショウキョウ)を加えた「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)」を使うと良いでしょう。

 いずれも主に慢性的に体力や気力が衰えた状態の「虚証」、かつ体に冷えがある「寒症」の方に向く漢方薬です。また、副作用として発疹やかゆみなどの皮膚症状、胃の不快感や食欲不振といった消化器症状が報告されているため、胃腸が弱く吐き気、嘔吐(おうと)、下痢などを起こしやすい人は慎重に使う必要があります。

 腰痛の症状、自身の体質は人によって異なります。自己判断は避けて、詳しくは医師や薬剤師に相談してください。

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池田和彦

池田和彦

1973年、広島県広島市生まれ。第一薬科大学薬学部薬剤学科卒。広島佐伯薬剤師会会長。広島市立学校薬剤師、広島市地域ケアマネジメント会議委員などを兼務。新型コロナワクチンの集団接種業務をはじめ、公衆衛生に関する職務にも携わる。

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