「メリンジョ」というなかなか聞き慣れない名前の植物があります。原産はインドネシアで、カリマンタン島(ボルネオ島)の深い森に住むダヤック人は、メリンジョを「生命の木」と呼び、語り継いで栽培してきました。接ぎ木で簡単に増やせることから、食料不足に苦しむ人々を救えると期待され、東南アジアでは一般的な野菜なのです。
メリンジョの花や葉もサラダでよく食べられているのですが、近年話題に上がっているのはドングリほどの大きさの種子。栄養価が高く、炭水化物やタンパク質が豊富なうえ、ポリフェノールのひとつであるレスベラトロールが豊富なのです。
レスベラトロールは赤ワインなどに含まれている成分ですが、メリンジョにはレスベラトロールが2個重なったレスベラトロール二量体「グネチンC」と呼ばれる特殊な形をしたものが含まれています。
レスベラトロールは長寿遺伝子とも呼ばれるサーチュイン遺伝子を活性化させる働きがあるといわれています。グネチンCにも同様の効果が期待され、肥満、心臓病、加齢に伴うさまざまな症状の改善に役立つという報告があります。
体内時計を動かしてくれる成分のひとつなので、朝に食べると体がシャキッと活動的になることでしょう。
また、グネチンCは肌のシミやくすみ、そばかすの原因となるメラニン色素を生み出すチロシナーゼを直接刺激して、メラニン生成を抑制する効果があることもわかっています。
さらには、抗酸化作用が強いといわれるアスコルビン酸やトコフェノールの1.5倍の能力があることも報告されていますし、食中毒の原因菌である大腸菌、ウェルシュ菌、アオカビなどの増殖を抑える効果を持つことから、抗菌作用を持つとされます。
少し古いデータですが、2010年のWHO(世界保健機関)の資料によると、インドネシアの平均寿命が男性66歳、女性69歳であったのに対し、メリンジョを食べる習慣があるジョクジャカルタ特別州の平均寿命は男性71歳、女性74.9歳と圧倒的に高く、メリンジョの摂取量と寿命の関係も注目を集めています。
国内栽培もまだ浸透しきれていないため、加工品での購入にはなると思いますが、手に取ってみてはいかがでしょうか。
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