健康長寿に役立つ高齢薬膳

【イワシ】骨を養う「腎」の働きを高めて骨折を予防する

骨強化サーディン丼
骨強化サーディン丼(提供写真)

 シニアにとってとりわけ注意したいのが「骨折」です。身体機能や生活の質が下がるだけでなく、「寝たきり」の大きな原因になってしまいます。骨の強度が低下して、骨折しやすくなる「骨粗しょう症」は、なんとしても予防しておきたいものです。

 骨の強度は、骨密度と骨質によって決まります。骨密度は20代がピークで、以降は次第に低下します。40代くらいまではなんとか維持できるものの、50代からは減少する一方。とくに女性は閉経後、骨形成を促進するエストロゲンの分泌量が減ることで、極端に低下してしまいます。

 そのため、骨粗しょう症は女性に多い傾向があるとはいえ、60歳を過ぎると男性にも増加します。骨粗しょう症の発症に関係する糖尿病や高血圧、喫煙、飲酒も男性の割合が多いということもあるので油断は禁物! 骨を強める食養生で生涯現役を目指しましょう。

 中医学において、骨は老化をつかさどる臓器「腎」との関わりが深いと考えます。腎は骨を養うため、働きが低下すると骨がもろくなり、折れやすくなってしまいます。また腰が曲がったり、腰痛などを引き起こします。

 おすすめの食材はイワシです。腎の働きを高め、骨を強化してくれます。足腰を強化して腰痛を改善し、ぎっくり腰にも役立ちます。また、血行を促進する働きもあり、がんなどの悪性腫瘍や、心筋梗塞、不整脈、脳卒中などを予防するためにも取り入れたい食材です。さらには脳の働きを高めるパワーにも優れているので、認知症予防にも威力を発揮します。

 イワシはうれしいことに手軽に摂取できます。ちりめんじゃこ、しらすをごはんや料理にトッピングすれば、アッという間に「骨強化ごはん」に。イワシのかば焼き缶やオイルサーディンも調理不要で食べられます。おやつには「食べる煮干し」や「小魚アーモンド」を。味噌汁は「いりこだし」を使うとよいでしょう。 骨を強化するイワシの効能を高めるためには、同じく腎をサポートするブロッコリー、ナガイモ、黒キクラゲ、クルミ、クリなどと組み合わせるのがおすすめです。

■イワシ高齢薬膳レシピ

骨強化サーディン丼

 骨を強化するイワシとブロッコリー、クルミを組み合わせたレシピ。イワシはオイルサーディン缶、ブロッコリーはブロッコリースプラウトを使えば、手軽に完成します。栄養分が溶け込んだオイルサーディンの缶汁を使ったタレはカレー風味で、食がすすむ味わいです。

【材料】2人分

●オイルサーディン缶  1缶
●ブロッコリースプラウト 2パック
●ごはん 2膳
●クルミ 大さじ2
●タレ(オイルサーディンの缶汁=大さじ2、しょうゆ=大さじ2、カレー粉=小さじ1、ニンニクのすりおろし=少々)
●黒こしょう 適量

【作り方】

 丼にごはんを盛り付け、根元を切ったブロッコリースプラウト、オイルサーディンをのせて、混ぜ合わせたタレをかけ、粗く刻んだクルミを散らす。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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