新型コロナワクチン4回目接種前に知っておきたい5つのこと

4回目接種が始まっているイスラエル
4回目接種が始まっているイスラエル(C)ロイター

 新型コロナワクチン接種が始まって1年2カ月が過ぎた。この間、早い人で3回接種を終えたが、連休明けには4回目接種が始まるという。対象は3回目接種から半年以上たった人だ。接種を希望する人が知っておきたい5項目を、先日、新型コロナウイルスの新しい治療メカニズムをつきとめ英医学誌に発表した、ハーバード&ソルボンヌ大学医学部の根来秀行客員教授に整理してもらった。

【Q1】全国で置き換わりが進むオミクロン変異株には効果があるの?

【A1】これまでの変異株の主な変異は、人の細胞にとりつくのに必要なスパイクタンパクの変化なので、一定の効果はあると考えられています。

 米国の報告では、mRNAワクチン(ファイザー社製またはモデルナ社製)3回接種と未接種の比較では、有効率はデルタ株で93.5%、オミクロン株で67.3%。3回接種後に入院を防ぐ効果は、オミクロン株が主流になった時期で、接種2カ月以内91%が、4カ月以上78%に低下しました。とはいえ、感染者や入院者を減少させ続けるためにはワクチンの3回目接種は極めて重要だと考えます。

 4回目接種後は、イスラエル保健省などの研究結果によると中和抗体の値は10倍程度に上昇し、3回目接種を終えた後をやや上回る水準になったそうです。また、ファイザー社とモデルナ社のワクチンで差は出なかった一方、オミクロン株の働きを抑える働きは、従来株に比べ10分の1程度にとどまりました。

 以上の研究データから、イスラエル保健省は「3回目の接種までに免疫は完成されていて、その後は低下するも、4回目の接種で回復すると考えられる。ただ、4回目接種は健康な若い世代にはわずかな利益しかない可能性もある」としています。

ハーバード&ソルボンヌ大学医学部の根来秀行客員教授
ハーバード&ソルボンヌ大学医学部の根来秀行客員教授(提供写真)

【Q2】なぜ感染が増えているのに重症は少ない?

【A2】オミクロン株は主に咽頭部に感染し、咳などでウイルスが発散されやすい一方で従来株に比べて肺の組織への広がりが少ない可能性が考えられています。

【Q3】とくに接種を検討すべきはどんな人?

【A3】①65歳以上②慢性呼吸器疾患③慢性腎臓病④糖尿病⑤高血圧⑥心血管疾患⑦肥満⑧生物学的製剤の使用⑨臓器移植後やその他の免疫不全⑩HIV感染症⑪喫煙歴⑫妊婦⑬悪性腫瘍--これらのリスク因子がある人です。その多くは毛細血管に問題がある人といえます。新型コロナの感染者の致死率を分析した結果、重症化のリスク要因が「ない」人(0.41%)に対して、「ある」人(2.28%)で5.6倍上昇したとの報告があります。

【Q4】副反応の頻度は?

【A4】2回目と3回目はほぼ同等なので、4回目も同様の副反応が予想されます。長期的にはまったくわかりません。イスラエル保健省の4回目データでは、ファイザー社とモデルナ社の2種類のワクチン全体で、局所の痛み78.8%、倦怠感33.2%、筋肉痛24.5%、頭痛21.5%、37.5度以上の発熱6.6%で、大きな影響はありませんでした。

【Q5】ワクチン効果を上げる生活習慣は?

【A5】体内時計に合った質の高い7時間の睡眠をとる人は、ワクチン効果が高いことが他のワクチンで報告されています。接種1週間前から心がけましょう。起床から1時間以内に朝食、3食を定期的にとる、定期的に適度な運動をするなど体調を整えることも大切です。

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 ワクチンはメリットとデメリットを秤にかけ、副反応のリスクと接種当日の体調も検討したうえで、メリットが上回ると判断できたら打てばいい。自分の体のことだから、納得のいく選択をすることが大切です。

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