五十肩を徹底解剖する

腱板は「切れた」「切れてない」に加え切れた量と質も重要

写真はイメージ

 肩の痛みは「腱板断裂」によるものだった──。こう判明した時、最初から「手術しかない」と諦める必要がないことを前回の本欄で紹介しました。

 一方で、肩の「痛み、動き、力」の程度と、肩に対する要求度、腱の断裂のひどさによっては、手術でしっかり腱をつないで治した方がよいと考える場合があります。具体的にはどのようなケースでしょうか。

 まずは、注射などの薬物療法やリハビリといった保存治療を行っても痛みの消退が期待するほどではなかった場合です。次に、諦めず治療を続けてもすぐに痛みがぶり返し、治り具合に限界をおぼえたタイミングです。

 保存治療に対し、半年から1年以上抵抗する場合を目安にしています。ただし痛みの引き具合が悪いときには、治療開始から数カ月前後でも手術を提案することもあります。

 患者さんにとっては、目の前の「痛み」が何よりもつらいものですが、治療側は「動き」「力」の要素をより重要視しています。

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安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

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