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足首をひねった…歩けるけど痛い 病院に行くべき症状は?

整形外科医の河合隆志氏
整形外科医の河合隆志氏(提供写真)

 足首をひねって病院に行くべき症状は、ひとつは「骨折」です。ひねった患部が5~30分以内にパンパンに腫れて、内出血をしますから見た目にも明らかです。次に「靱帯を痛めた」場合で、こちらも少なくとも1時間以内に患部が腫れて、そのあとに内出血によって赤黒くなります。

 いずれも痛みは強いことが多いといえます。しかし、靱帯を痛めているケースでは、一定数痛みを我慢できる患者さんがいます。そのため、「痛みがなくて腫れている」「腫れもなく痛みも強くないけれど、歩くと痛い」といった場合でも、靱帯が傷ついて骨と筋肉をつなぐ組織である靱帯を痛めている可能性があります。我慢すれば損傷が広がってしまいますので、自己判断せずに診察を受けてレントゲン検査をしてもらいましょう。

 また、「捻挫だと思っていたら痛みが引かない」と診察してみたら、骨折だったこともあります。捻挫とは、つまずいたり、転んだりして足首を内側にひねった際に関節に力がかかって、靱帯や腱、軟部組織などが損傷するケガですが、内側にひねった勢いで靱帯が骨を剥がしてしまい「剥離骨折」も伴うケースがあります。

 回復には関節を固定し、一定の期間安静が必要となります。関節に強い痛みを感じた場合、捻挫なのか骨折なのか自身では判断できないことが多いので、病院にかかるのをおすすめします。

 捻挫も程度はさまざまで、靱帯が一時的に伸びている(軽度)状態から、靱帯が断裂して関節が動かせない(重度)状態まであります。ただの捻挫であれば、病院にかからずに治癒できます。ケガの後、1カ月ほどで痛みは取れ、日常生活に支障はなくなります。

 ただし、激しい運動などで大きな負担が加わったときに痛みや腫れ、ぐらつき感などが生じますから、数カ月は厳しいスポーツなどは避けましょう。無理をすると関節内の傷が悪化してしまい、「変形性関節症」を引き起こす可能性もあります。足首がぐらぐらして、軟骨がすり減ってしまい、それによって、関節が変形してしまう疾患です。

 初期であれば、消炎鎮痛剤、温熱療法、運動療法などによる治療で痛みを緩和しますが、日常生活に支障が出れば人工関節置換術といった手術が必要になるケースもあります。

▽河合隆志(かわい・たかし) 東京医科大学医学部卒。日本整形外科学会専門医。2008年から三楽病院整形外科他勤務。15年から米国ペインマネジメント&アンチエイジングセンター他研修後、現在はフェリシティークリニック名古屋院長。専門は整形外科痛み外来。

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