コロナ死亡数はどうやって決まるのか? 医療情報学教授が特別寄稿

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 アメリカでも、多くの州が日数で区切った死亡を、コロナ死と判定している。ただし「30日以内」とする州が多い。

 またマサチューセッツ州では、昨年まで60日以内としていたが、連邦政府などの要請もあり今年から30日に短縮し、過去に遡って集計し直した。その結果、死亡数が約3700人も減ったという。

 一方、イギリスでは日数のほかに、医師の死亡診断書に基づく集計も行っている。

 死亡診断書には、死亡にもっとも関与した疾病(主たる死因)と、死亡に大きくは関与していないが、健康状態に影響を与えた基礎疾患など(関連死因)が記載される。昨年末時点で、イングランドとウェールズのコロナ死は約14万人だった。これは、コロナが主たる死因とされた人数である。

 ところが死亡診断書の中には、死因としてコロナだけが書かれており、関連死因がないものが約1万7000件あった。それを誤解あるいは曲解して、「本当はコロナで亡くなったのは1万7000人に過ぎなかった」とSNSに投稿したグループがあり、それが瞬く間にネット上に拡散してしまった。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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