コロナ死亡数はどうやって決まるのか? 医療情報学教授が特別寄稿

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ちなみに私は以前、ある年のあるがんの死亡数が、例年の10倍以上になっていることを見つけ、厚生労働省に「間違いではないか」と問い合わせたことがあった。

 しかし厚生労働省の担当者は、「それは確定値であるから、いまさら確認も修正もしない。その数字をそのまま使うか、使わないかはそちらの自由」と言われ、まったく取り合ってもらえなかった。

 政府統計の確定値とは、そういうものである。新型コロナの場合は、前例がないから、この3466人が妥当かどうかを判断する材料が乏しい。しかし確定値として出た以上、2020年における日本のコロナ死はこれで決まりである。これが公式の数字として、永遠に残ることになる。参考までに、この年のウイルス性肝炎による死亡が2201人、結核が1909人、交通事故死は3718人などとなっている。

 ただし「たとえ交通事故で亡くなっても、コロナ陽性だったらコロナ死としてカウントされる」と思っている人が、日本のみならず世界中に大勢いるが、これは明らかに誤解である。世界保健機関(WHO)も各国政府も、事故や殺人など外的要因による死はコロナ死に含めない、という方針をはっきりと示している。もちろん日本も同様なので、この点に限れば安心してよい。

(永田宏/長浜バイオ大学メディカルバイオサイエンス学科教授)

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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