AIを活用したシステム「AI-PHARMA」が最適なクスリ情報を提供 導入施設が増加中

アイファルマの横断検索画面

■施設ごとに申し込み無料で利用できる

 このような情報を蓄積し、検索によって引き出せるといった機能に加え、2022年になってからさらにアップデートが重ねられている。医療現場で生じた疑問や質問を投げかけると、登録している多くの医療者メンバーが回答を寄せることができる「掲示板機能」や、アイファルマ上で登録している所属グループ内やそれ以外のコミュニティーに業務連絡や情報を発信できる「一括お知らせ機能」などが追加された。

 アイファルマは、施設ごとに参画を申し込むとログインIDが発行され、無料で利用できる。

 現在、岡山大学病院をはじめ、東北大学病院、杏林大学医学部付属病院、東京女子医科大学病院など、全国で200を超える医療機関や薬局が導入しているという。

「アイファルマは医療従事者向けのシステムで、患者さんには公開されませんが、最終的には患者さんにとってプラスになります。患者さんの多くは、複数の基礎疾患や合併症を抱えているなど背景が複雑です。そのため、医療者が個々の患者さんに合わせて最適にクスリを使おうとしても、公開されている添付文書などの情報だけでは不十分な場合が少なくありません。そうした情報の不足は、自身の経験または経験者の知識によって補っていますが、経験や知識はテキスト化されていないケースがほとんどで、経験者が身近にいなければ聞くことができません。それがアイファルマにはそうした経験が蓄積され、その情報を共有できるので、個々の患者さんに合わせた最適なクスリの提供につながります」

 今後、医療者個人単位での申し込みも可能になる予定で、登録者数3万人を目指しているという。

 医療現場ではますますAIの活用が進みそうだ。

3 / 3 ページ

関連記事