コロナ第7波に備える最新知識

「脱マスク」で大事なのは屋外か屋内かではなく感染経路を考えた予防策

大事なのは屋外か屋内かではない
大事なのは屋外か屋内かではない(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナ対策のマスクの屋外着用について医師や政府から見直しの声が相次いでいる。

「屋外では着用の見直しをしてもいいのではないか」(東京都医師会会長)

「(気温や湿度が高い時)屋外での人との距離が十分ある場合にはマスクを外すことを推奨しています」(官房長官)

「屋外で、距離もとって、会話もないところでは、当然マスクをする必要はない」(厚労省に助言する組織座長)

 新型コロナが流行して2年余り。この間、屋外でのマスク着用の合理性についてダンマリを決め込んでいた政府関係者や専門家が急に屋外での脱マスクを言い始めた。なぜか? 公衆衛生に詳しい、岩室紳也医師が言う。

「飛沫やエアロゾルの屋外での拡散を調べた新しい研究などは聞かないし、そもそも屋外で条件を同じにして研究するのは困難です。いま屋外のマスク着用を否定する科学的な根拠が増えたわけではありません。ただ、欧州や米国の一部の州や韓国などでは屋外でのマスク着用をやめた。米フロリダ州では公共交通機関でのマスクもやめた。これに合わせただけでしょう」

 岩室医師は一番の動機は今後欧米との社会経済活動を行うにはマスク着用は障害になると考えただけではないか、という。政府は水際対策で1日当たりの入国を上限1万人から2万人に増やす予定だ。

「そうなれば、屋外での脱マスクが進んでいる外国人と日本人との間でトラブルが頻発する可能性がある。日本ではマスクをしない人は感染対策をしない人という印象があるからです。しかも、顔の表情で相手の意思を読み取ろうとする外国人はただでさえ表情が乏しい日本人がマスクをしたままでいることに不安を覚える場合もある。新型コロナに感染しても重症化リスクが低くなってきたこともありますが、主な理由は外国人対策なのではないでしょうか」

 むろん状況に応じた脱マスクは賛成だ。気をつけたいのは、屋外でも新型コロナは感染する場合があることだ。

「過去にはバーベキューをしていたグループに集団感染が起きたことがありました。屋外とはいえ、飲食しながら大声で話せば、飛沫が飛び、直接あるいは料理を介してウイルスが人体に侵入しないとも限らない。当時、流行していたアルファ株やベータ株に比べてオミクロン株は感染力が強い。そのことを考えればシーンごとに考えて脱マスク議論を進めないと間違うのではないでしょうか」

 では、どんなことに気をつければいいのか?

「重要なのは屋外、屋内ではなく、感染経路を理解した上での基本的な予防策です。屋外は屋内に比べて空気の流れがある。広い空間では人が呼吸や会話などで吐き出すウイルスは拡散されやすい。そのため屋内に比べて感染リスクが低いことはわかる。しかし、それは絶対ではない。過去の例を見ても風上の人より風下の人の方が感染しやすいのは事実。屋外でも必ずしも十分な空気の流れがあるとも限らない。以前、欧州でのサッカーの試合後に多くの感染者が出たケースもあります。いまの段階でマスクを外していい条件は、『一人』『無言』『空気の流れがある』であって、人といる場合は『周囲と2メートル以上の距離がある』『飛沫がかからない立ち位置』『携帯型扇風機で積極的に空気の流れをつくっている場合』ということではないでしょうか?」

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