医者も知らない医学の新常識

「夜食べないとやせる」は本当か?海外医学誌で研究報告

写真はイメージ
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 肥満は世界的な健康問題で、多くのダイエット(減量)法が考案されています。その中には科学的に立証されているものもあり、そうでないものもあります。

 現在、最もその有効性が確認されているのは、体に負担をかけない程度のカロリー制限をして、無理なくやせるという方法です。制限の目安は男性で1500キロカロリー、女性で1200キロカロリーくらいのことが多いようです。ただ、このダイエットの効果は「1年続けても体重の5%減るかどうか」というくらいで、肥満の改善には十分なものとは言えません。

 そこで、低カロリーのダイエットに加えて、朝から夕方の早い時間までに食事の時間を制限する「時間制限ダイエット」の効果が注目されています。夜食べてすぐ寝てしまうと、同じカロリーでも脂肪になりやすいというのは、普通にそうかな、と思えるところです。しかし、科学的にはどうなのでしょうか?

 今年のニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンという一流の医学誌に、中国で行われた臨床試験結果が報告されています。通常の低カロリーダイエットに加えて、食事の時間を朝8時から午後4時までに制限する場合と、制限しない場合とで1年間ダイエットを継続したところ、当初予想されたようなダイエット効果の違いは認められませんでした。

 夜食べないだけでは、肥満の改善には十分ではないようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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