補助人工心臓は、弱った心臓が拍動して少しでも血液を送り出していれば、モーターでプロペラを回して血流を生み出します。ということは、モーターを含めた装置がさらに小型化されれば、心臓が全身に血液を循環させる際に不具合がある箇所にそれぞれモーターを設置し、血流を適正配分することができるようになる可能性があるのです。
たとえば、心臓から脳に向かう上行大動脈の心臓の出口に1個、腹部の臓器に向かう場所に1個、下肢に向かう場所に1個といったように配置し、その3個のモーターがリズミカルに連動するようにコントロールするペースメーカーのような機器を設置すれば、体の動きに応じてモーターを動かし、脳、内臓、足の血流が守られるようになるのです。
心臓の場合、EVのモーターのようにそれぞれが完全にシンクロする必要はありません。1秒くらいずれて動いたとしても問題はなく、そこまで高い精度が求められるわけではないため、技術的には十分に可能と言えるでしょう。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」