古くから親しまれるハチミツですが、日本での歴史は意外と浅く、江戸時代に入ってから養蜂が盛んになったといわれています。
そんなハチミツの構成成分の約8割はブドウ糖や果糖、オリゴ糖などの糖分です。ブドウ糖や果糖は短時間で体内に吸収され素早くエネルギーとして使われるため、脂肪になりにくい糖。5~14度でハチミツを放置しておくと白く結晶化することがありますが、これはブドウ糖が固まっただけで品質にはまったく問題なく、湯せんすることで再び使いやすい状態へ戻すことができます。
オリゴ糖は消費者庁が認可する特定保健用食品で、「おなかの調子を整える食品」の機能表示が認められている成分です。腸活にもおすすめの食材です。さらにハチミツは、近年さまざまな健康に関わる治験がなされています。健康な成人男女に、異なる7種類のハチミツを摂取させた実験では、摂取後の血糖値(GI値)とインスリン値(II値)がブドウ糖よりも低く、中でもアカシアハチミツが最も低い数値を示していることがわかっています。数値が低いものほどフルクトース(果糖)含有率が高い傾向もありました。
また、ハチミツの抗菌効果、傷病治癒作用の研究も盛んです。インフルエンザウイルスに対抗する力(抗ウイルス活性)を調べた実験では、マヌカハチミツの抗ウイルス活性が最も高いことが報告されていますし、シート状に培養したヒト角化細胞に引っかき傷をつけ、ハチミツを添加した実験では、どのハチミツにおいても無添加の状態よりも著しく高い傷修復能力を示した報告もあります。その中でも効果が高かったものがアカシアとソバハチミツだったそうです。
さらに、甘露、ローズマリー、ペーターソンカース、ユーカリ、ラズベリー、ベニバナ、ペパーミント、コーヒー、レンゲ、百花のハチミツで、歯垢から歯石をつくりにくい効果が見られることもわかっています。特に濃い色のハチミツは歯石予防効果が強い傾向があるそう。新しい甘味料として利用の幅も広がりそうですね。
このように、可能性にあふれたハチミツですが、腸が未発達で腸内細菌の少ない乳児は要注意。ごくまれにハチミツに含まれるボツリヌス菌(芽胞)が原因で乳児ボツリヌス症を発症する恐れがあるため、必ず1歳を過ぎてから食べさせるようにしてください。
時間栄養学と旬の食材