コロナを超過死亡数で知ることはできるのか? 医療情報学教授が特別寄稿

今はPCR検査が受けられる場所も増えたが(C)日刊ゲンダイ

 政府が発表するコロナ死者数は、必ずしも実態を反映しているとは限らない。コロナ死の定義が国によって異なっているうえに、コロナ禍が始まった当初、ヨーロッパやアメリカでは、医療現場が大混乱していた。また発展途上国の中には、いまでも検査体制が不十分な国が少なくない。

 とくに日本では、十分な数のPCR検査ができるようになるまで相当長い時間がかかった。当時、「日本はCTの保有数が世界一で、PCRをやらなくてもCT画像からコロナ肺炎を診断できる」と言う医師が少なからずいて、PCRの検査数を増やすのにはむしろ後ろ向きだった。そのため肺炎までいかない軽症患者の多くが見逃されていた可能性が高いし、肺炎にならずにコロナ死した人も実は大勢いたかもしれない。そうした理由から、超過死亡の推計値が注目されているのである。

■欧米一流医学誌は政府発表の6倍と推計

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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