進化する糖尿病治療法

「低GI値」を意識した食生活で血糖値を下げられるのか

GI値が高い食品だけが糖尿病のリスクを上げているのではない

 日本人の昔の食事は米中心で、GI値が高めでした。しかし当時は、糖尿病が多かったわけではない。それから考えると、GI値の高い食品だけが糖尿病のリスクを上げているのではない。

「GI値とカロリーはイコールではない」と前述しましたが、たとえばトンカツやハンバーグ、ステーキなどは、カレーライスやオムライスといったご飯をメインにしたメニューよりGI値が低めではあるものの、「だから安心」と肥満の人が食べ過ぎれば、肥満は解消されず、糖尿病対策にはまったくならないでしょう。

 ただし、日頃からGI値を気にしている意識の高い人は、食事バランスなどに気を使っており、結果、糖尿病になりにくい傾向があるのも事実なのです。

4 / 4 ページ

坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

関連記事