コロナ第7波に備える最新知識

屋外で緩和されたいまこそマスクの目的や素材の検証が必要

屋外のマスク使用は緩和されるも…
屋外のマスク使用は緩和されるも…(C)日刊ゲンダイ

「公園でのランニングや自転車の移動など屋外で十分な距離が取れている場合や距離が取れてなくても会話がほとんどなければマスクは不要」「2歳以上の未就学児は一律にマスク着用を求めない」「小学生は屋外での体育の時間では距離が取れていれば不要」ーー。

 新型コロナ感染症の流行から2年余り。新型コロナウイルス感染症対策を厚生労働省に助言する専門家組織がマスク着用について改めて見解を出したという。政府はこれまでも屋外でのマスクは必ずしも必要でないとし、夏を迎える前には熱中症予防のため、周りの人と離れていればマスクを外すことを推奨してきたと言う。

 しかし、その声は小さく、屋内外にかかわらずマスクの着用は半ば義務化されてきた。それを黙認してきたのは、主流の感染症の専門家がマスクの有用性をきちんと論じ検証せず、在野の医療関係者や学校関係者から上がる懸念や異論を無視し続けてきたからではないか。公衆衛生に詳しい岩室紳也医師が言う。

「新型コロナウイルスの感染経路を理解していれば新たな方針はどれも当然のことです。屋外であれば感染者が吐き出したウイルスを含んだエアロゾルも空気の流れで拡散され、感染リスクは大幅に低下します。まして、おしゃべりしなければ、さらに感染リスクは低くなる。学校関係者を含め多くの人が疑問に感じていた屋外マスクの不合理を世間の声に押され、ようやく専門家が認めたということです」

■政府の検証と発信が足りない

 マスクといい、ワクチンといい新型コロナの件で頭をよぎるのは「かっけ論争」だ。かっけは江戸から昭和初期まで毎年多くの国民の命を奪った国民病だった。その原因はビタミン不足だったが、「栄養の欠陥によって起きる」という海軍軍医の主張は、「細菌による伝染病である」とする帝国大学医学部・陸軍グループにより40年間も否定・無視され続けた。

 幸いマスクについては短期間で軌道修正された。しかし、その間マスクをしたまま運動させられ体調を崩したり、マスクなしで自転車通学して教師と言い争いとなり学校嫌いになったりした子供も多かったはずだ。マスクしたまま運動するのは苦しいからと運動をやめて持病を悪化させた大人もいただろう。

 だからこそ、屋外での一律マスク着用の対応が変わったことに喜ぶ気持ちはわかるが、いまこそ注意しなければならない。

「一律着用がおかしいだけではなく、マスクの素材についての発信がありません。不織布マスクをつけていてもマスクと顔の隙間からエアロゾルは排出されているので例えば屋外でも空気の流れが良くない場所や風下に人がいる場合などはマスク以外の対策が必要だと考えます。政府や感染症の専門家はマスクを着用する目的とその目的を達成するためにどのような素材のマスクをどのような場面で着用するかを議論し検証し、その結果を国民に知らせるべきです」

 それが潤沢な資金と人材を抱える政府が行う仕事ではないか。そうでなければまた気分でマスク着用が再び義務化されることになりかねない。

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