日本ではあまり知られていませんが、実はいま欧米では「東洋医学」への注目度が一層高まっています。
これまでにも「東洋医学」はさまざまな体の不調に対処できる治療法として紹介してきましたが、近年になって西洋医学では手が届かなかった症状への解決策として、世界中で注目を集め始めているわけです。
中でも先進医療が発達する米国では、鍼治療の導入が盛んです。
例えば鍼灸治療が、腰痛のガイドラインで紹介されています。
65歳以上の公的医療保険制度でも鍼治療が正式に採用されています。意外なところでは米軍において、耳に鍼をする「耳鍼」を使って痛みを緩和する治療法を「戦場鍼(バトルフィールド・アキュパンクチャー)」と呼び、戦場における応急処置として研究と導入が進んでいます。
こうして東洋医学が米国を中心に注目され始めた背景には、いま米国社会で大きな問題となっている「オピオイド(鎮痛薬)」の乱用による薬物中毒問題があります。
痛み止めに気軽に鎮痛薬を服用することで、薬物中毒が多発し、年間数万人の死者が出るほどの深刻な社会問題となっており、薬物に頼らないで「痛み」を緩和する手段として、鍼治療の研究と導入がにわかに進んでいるというわけなのです。
とりわけ痛みと脳に関する研究が進んでおり、その中で解明されつつあるのが、「慢性腰痛の患者は痛みを感じる脳の機能により、痛みの感じ方に変化がある」というものです。鍼治療で脳に働きかけることで、その痛みを改善できるとされています。
これまでベールに包まれていた「東洋医学」の治療メカニズムが、徐々に科学的にも効果が裏付けられた治療法として、解明され、今後も世界中で認められていくことでしょう。
東洋医学を正しく知って不調改善