くも膜下出血は発症2週間で人生が決まる 手術成功でも死のリスク

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 今回発売の薬「クラゾセンタン」は、強力かつ持続的な血管収縮物質「エンドセリン」の働きを阻害する作用がある。脳血管攣縮の発現メカニズムは明らかではないが、エンドセリンの関連が指摘されている。クラゾセンタンをくも膜下出血術後に投与した臨床試験では、クリッピング術、コイル塞栓術どちらも、脳血管攣縮の発現割合、起こった場合の重症度が有意に低かった。

「従来の2種類の薬は脳血管攣縮が起こった時に使うもの。脳血管攣縮はいつ起こるかわからず、起こったらできる限り早く対処して死に至らせない、後遺症を残さないというのが脳外科医の使命でした。ただ、これが非常に大変だったのです。一方、新薬は術後の投与で脳血管攣縮を抑制できるというエビデンスがある。今後臨床現場で、くも膜下出血の患者さんの福音となることが期待されます」

 クラゾセンタンに関連した副作用としては、体液貯留(肺水腫、胸水、脳浮腫)、低血圧、貧血がある。しかし大部分は適切なモニタリングや患者管理で軽減できることが確認されている。

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