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米国のドラッグストアから粉ミルクが消えた! 深刻品不足で赤ちゃんの健康が危機的状況に

粉ミルクの棚はからっぽ(C)ロイター

 実はこの感染問題は昨年秋の時点で内部告発があったにもかかわらず、会社とそれを管理する国の機関FDA(アメリカ食品医薬品局)の対策が遅れたために、工場閉鎖にまで発展してしまいました。その裏には無理をしてでも利益を追求する業界の体質があったと指摘されています。

 実は日本ほどではありませんが、アメリカでも少子化が進んでいます。粉ミルク業界はこれ以上の成長は期待できない代わりに、行きすぎたコストカットで利益を上げようとしたため、このような事故が起きたと考えられています。

 アメリカでは生後6カ月の赤ちゃんの4割以上が粉ミルクで育てられています。遠く離れたドラッグストアを何軒も回って粉ミルクを必死に探し回るお母さんや、母乳バンクに助けを求めるお母さん、体質に合わせた粉ミルクが手に入らず、代替品を使った赤ちゃんが病院に搬送されたことなどが連日ニュースになっています。

 FDAとの交渉でアボットの工場は生産再開のメドが立ったとのことですが、商品が出荷されるのは2カ月以上先になります。その間は海外からの輸入に頼るということですが、まだまだ心配な状況は続きそうです。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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