寝苦しい梅雨でもぐっすり眠るために意識したい「3つのポイント」

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 長雨の季節が間近に迫っている。今年は九州北部から関東甲信では6月上旬に梅雨入りするとみられている。湿気が多くジメジメした気候は睡眠の質を低下させ、寝つきの悪さや寝苦しさといったトラブルが増える。東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏に梅雨の時季にぐっすり眠るためのポイントを聞いた。

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「梅雨の時季になると、一日中だるさが続く、何をしても疲れが取れないといった心身の不調を訴える人が少なくありません。体温、血圧、呼吸、心拍数といった生命活動をコントロールしている自律神経が酷使され、疲弊してしまうことが原因です。梅雨は気圧や気温の変化が激しい季節ですから、体を環境に適応させるために自律神経はフル回転を強いられ、大きな負担がかかるのです」

 自律神経の疲弊をしっかり解消し、バランスを整えるために何よりも重要なのが睡眠だ。

 しかし、高温多湿な梅雨の季節は睡眠環境が厳しいといわれる。注意すべきポイントを解説してもらった。

①脱水

 血液が固まってつくられた血栓が脳の血管に詰まる脳梗塞の発症は、梅雨にあたる6月から7月にかけて最も多くなる。気温がどんどん上昇しているのに、湿度が高いことで喉の渇きを自覚しにくいため、水分補給が不足して脱水になり、血液や体液の循環が悪くなる人が増えるからだ。

「さらに、寝ている間は水分を摂取できないうえ、皮膚や呼気から水分が失われる『不感蒸泄』によって、寝ているだけで200㏄の水分が失われます。また、尿として300㏄の水分が膀胱にたまるので、就寝中はただでさえ脱水を起こしやすい状態といえます。自律神経は体内循環もコントロールしていますから、脱水状態では血流が悪化し自律神経にかかる負担が増大することになります。それだけ、睡眠の質も大きく低下してしまうのです」

 就寝中の脱水を防ぐためには、ベッドに入る30~40分前に少なくとも200㏄の水分を摂取する。さらに、汗を吸収しやすく乾きやすい素材のパジャマを選ぶのも効果的だという。

②湿気

 高温多湿な環境で寝具がしっかり乾燥していないと、就寝中の体温コントロールがうまく機能しなくなる。すると、内臓を含めた体の中心部の体温=深部体温がしっかり下がらなくなり、睡眠の質が低下する。

「就寝中、われわれの体は発汗による気化熱の作用で体温を低下させ、深部体温も下げることで深い睡眠に誘います。しかし、乾燥していない寝具では汗が蒸発しないためにうまく体の熱を吸い取れず、深部体温を下げる働きを妨げてしまうのです。雨で布団を干せないことも多い梅雨の時季は、布団乾燥機などを活用して寝具をしっかり乾燥させるのがおすすめです。また、人が快適に眠ることができる室内の湿度は50~60%が最適といわれています。6月と7月の室内の湿度は80%前後まで上昇するので、エアコンや除湿器を使って湿度や温度をコントロールすることも大切です」

③光

「夏至」は日の出から日の入りまでの時間が最も長い日で、今年は6月21日にあたる。夏至を迎えるまでは徐々に日が長くなり、夏至を過ぎるとだんだん短くなっていく。

「つまりこれから6月末までは、太陽が昇って明るくなる時刻=朝が早くなるということです。雨天で太陽が隠れていても明るくなるのは同じです。われわれは目を閉じていてもまぶたを通して光を感じる。光を感知すると脳は『朝が来た』と判断して睡眠深度を浅くする。その結果、窓から漏れる光のわずかな差し込みだけでも質の良い睡眠を妨げてしまう。仮に普段は朝6時に起きている人が4時に光を浴びると、質の高い睡眠の時間が2時間ほど減ってしまうのです」

 過去の研究では、街灯の差し込み光や豆電球程度の明かりでも光を感知して睡眠の質を低下させるという報告もある。

 だからこそ、遮光カーテンを使うだけでなくカーテンの隙間から入ってくる光も防ぐ工夫が必要だ。遮光カーテンの隙間をテープや洗濯バサミなどでしっかり留める。布団で寝ている人は窓際から離れた場所に敷き、ベッドの人は枕の位置を窓からの光が当たらないところに変更した方が光の影響を受けにくい。

 しっかり眠って梅雨を乗り切るには、3つのポイントを意識すべし。

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