手術は日帰りでここまでできる

脱腸手術は切開ではキズは3~5センチだが腹腔鏡なら3~5ミリ

写真はイメージ

 現在、当院でもっとも多く行っている日帰り手術が鼠径ヘルニア(脱腸)です。足の付け根と下腹の間(鼠径部)の筋膜が弱って穴が開き、その穴から腹圧に押された腸が出っ張る病気です。手術の目的は、穴を塞ぐことになります。

 かつては、糸で穴を縫って縛り、閉じる手術法しかありませんでした。しかし、この方法は再発率が高い。そこで現在は、メッシュと呼ばれる網状の医療用合成繊維で穴を塞ぐ「メッシュ法」が主流となっています。入れたメッシュは一生そのままで、取り出すことはありません。

 メッシュ法のネックは、メッシュを広げて敷く十分な面積を確保するために、通常の切開手術では、太ももの付け根部分を3~5センチくらい切開する必要がある点。どうしてもキズとしては大きくなってしまい、もちろん日帰りするにしても苦痛が増えてしまいます。

 では、なぜ私たちが鼠径ヘルニアの手術を日帰りでできているのか? それは、腹腔鏡で手術を行っているからです。

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大橋直樹

大橋直樹

日本外科学会認定外科専門医、全日本病院協会認定臨床研修指導医。東京外科クリニックグループでの日帰り手術の件数は2022年4月末日時点で3101件。

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