健康の「素朴な疑問」

運動嫌いなのに…なぜ医師は適度な運動は必要だと言うのか

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 さまざまなメリットが言われていますが、近年注目されているのが骨格筋から産生される「マイオカイン」と総称される生理活性物質です。

 骨格筋とは姿勢を保ち、体を動かす筋肉のことで一般的には筋肉のことを指します。マイオカインは骨格筋のそばだけでなく、遠くの臓器にも良い影響があることが報告されつつあります。

 たとえば、免疫細胞や脂肪細胞から分泌されるインターロイキン6と呼ばれる物質があります。一般的には体内で炎症反応を起こしたり、維持したりする悪者のイメージがありました。

 しかし、近年は運動後に骨格筋から分泌されたインターロイキン6は、炎症を抑える働きがあり、インスリンが十分働かないインスリン抵抗性に対しても良い働きをすることが報告されています。

 インターロイキン15は筋トレで増加するマイオカインです。血液中に流れるアミノ酸を集めて筋肉や骨を作るタンパク質同化作用があります。

 それだけでなく、内臓脂肪を減らす働きがあることも報告されています。

 BDNFは神経細胞の発生、成長、維持、再生を促進させる脳由来の神経栄養因子です。運動により多く発現し、骨格筋細胞の脂肪酸酸化を促進することがわかっているほか、心筋梗塞後の運動能力の低下改善作業があることが報告されています。

 ほかにも血管新生や心保護作用のあるNDNFなどさまざまなマイオカインが発見され、研究が進められています。

 年をとったから激しい運動ができないので運動しても意味がない、というわけではないのです。

(弘邦医院・林雅之院長)

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