これが日本初の患者だ。これを受けて、13年には4類感染症(全数報告義務)に指定された。その後、患者は増え続け、西日本一帯で毎年60人から100人、少しずつ増えながら推移している。しかも徐々に東に勢力を広げており、21年には千葉県で関東初の患者が確認された。中国における致死率は30%以上、日本国内でも20%前後と、かなり高い。
ウイルスを媒介するのは、フタトゲチマダニやタカサゴキララマダニなど、日本中に普通に生息しているマダニである。都会人はマダニなど見たことがないし、まして刺された経験はほとんどないだろう。布団やカーペットにすみついて、ハウスダストの原因となるダニとは違う、吸血性の大型ダニ(数ミリ~1センチ程度)である。ヒトの皮膚に長い針(正しくは顎)を突き刺し、そのままじっと張りついて、数日から1週間以上にわたって血を吸い続ける。満腹になると、離れてどこかに行ってしまう。その間、ヒトの方は痛みやかゆみをほとんど感じない。見つけても、手で引きはがせないほどしっかり張りついているため、皮膚科に行って、皮膚ごと切り取ってもらうしかない。