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米国ではオミクロン株の猛スピード変異にワクチンが追いつかない

マンハッタンが見渡せる新しいビル「ワンヴァンダービルトタワー」の展望台に訪れた人たち(C)ロイター

 アメリカは夏に向けた旅行シーズンを迎え、空の旅の旅客数も新型コロナのパンデミック前の水準に戻りました。一方で1日の感染者は10万人で高止まりしていますが、マスク義務付けなどの規制はなく、ワクチンと早期治療で対応しています。そんな中、関係者が頭を痛めているのは、新型コロナウイルスの変異株が次々と置き換わるスピードに、ワクチンが追いつかないことです。

 現在アメリカの感染の6割を占めるのはオミクロン株亜系統BA2.12.1で、その前のオミクロンBA2 株にわずか1週間あまりで取って変わるという凄まじい感染力を見せています。実際、私の周りの感染者のほとんどは3回目までワクチンを打っている、つまりブレイクスルー感染で、無症状の人もいましたが、数日間高熱が出た人もいました。

 この亜系統は、最初のオミクロン株の感染で得た抗体は効かず、ワクチンに対してもブレイクスルーしやすいとされています。特にワクチンを打って半年近く経つと抗体が減るので感染しやすくなりますが、それでも重症化を防ぐ効果は高いという臨床データが出ています。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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