認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

アルツハイマー病は発症前に見つける 受けるべきは「アミロイドPET検査」

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 アルツハイマー病を発症前に見つける──。これは、私が院長を務める「アルツクリニック東京」で力を入れていることのひとつです。

 アルツハイマー病とは認知症の一種で、認知症の原因の7割を占める病気です。現時点では、臨床現場で使える「アルツハイマー病を治す薬」はないため、「早く見つけても意味がないじゃないか」という意見もあります。

 これに関して、私としては早期発見を推奨したい理由がたくさんあるのですが、それはまた別の回でじっくりと。連載第1回の本欄では、「発症前に見つける」についてお話ししたいと思います。

 アルツハイマー病を発症前に見つける方法として、読者の皆さんが頭に浮かべるのが、「脳ドック」ではないでしょうか? 

 人間ドックのオプションなどで広く行われている脳ドックは、MRIを使って脳を調べます。MRIは自覚症状のない脳梗塞、くも膜下出血の原因となる動脈瘤、脳腫瘍、血管性認知症を見つけるのに適しています。ちなみに血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳の血管の病気の結果、認知機能が段階的に低下していく病気です。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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