認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

アルツハイマー病は発症前に見つける 受けるべきは「アミロイドPET検査」

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 このアミロイドβは20年以上という長い年月をかけて蓄積し、脳を変性させます。アルツハイマー病が疑われる症状が出てくるよりはるか前から、脳は、アミロイドβの影響を受けているのです。「アミロイドβがたまり始めている。でも神経細胞はまだ健在」という時期、つまりはアルツハイマー病を発症する前にアミロイドPET検査を受け、その状態に応じて対策を講じれば、アルツハイマー病の発症をできるだけ回避し、発症の時期を遅くできることが可能なのです。

■若年性アルツハイマー病と診断された50代の男性を検査すると…

 アミロイドPET検査は、アミロイドβに取り込まれる性質を持つ放射性製剤を体内に投与し、MRIなどには映らないアミロイドβの沈着の度合いを画像で確認します。こんなケースがありました。

 51歳の大学教授は物忘れがあり、認知症専門病院でMRIなどの検査を受けたところ、脳に軽い萎縮が見られ、「若年性アルツハイマー病」と診断されました。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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