このアミロイドβは20年以上という長い年月をかけて蓄積し、脳を変性させます。アルツハイマー病が疑われる症状が出てくるよりはるか前から、脳は、アミロイドβの影響を受けているのです。「アミロイドβがたまり始めている。でも神経細胞はまだ健在」という時期、つまりはアルツハイマー病を発症する前にアミロイドPET検査を受け、その状態に応じて対策を講じれば、アルツハイマー病の発症をできるだけ回避し、発症の時期を遅くできることが可能なのです。
■若年性アルツハイマー病と診断された50代の男性を検査すると…
アミロイドPET検査は、アミロイドβに取り込まれる性質を持つ放射性製剤を体内に投与し、MRIなどには映らないアミロイドβの沈着の度合いを画像で確認します。こんなケースがありました。
51歳の大学教授は物忘れがあり、認知症専門病院でMRIなどの検査を受けたところ、脳に軽い萎縮が見られ、「若年性アルツハイマー病」と診断されました。
認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う